
私は彼の演奏を耳にして、初めてベートーベンのVn協奏曲を好きになった記憶があります。
今回は「バッハと私」と言う題目で、大変興味深いインタビュー番組に接する事ができました。演奏家としてのキャリアは20年以上もあると思うのですが、バッハを弾き始めたのはつい最近、そして準備のたびに想像を絶するほどの緊張感と、弾きこなすための困難さを感じるそうです。

しかし演奏会の最中あるいは終了後に、観客と一体となった音楽の喜びを味わえる事が、何ものにも代え難いそうです。またバッハが最初の奥さんを亡くした後の、作品に込められた気持ちとか感情が良く分かる、それは親愛なる母親を失ってから、より一層心が高ぶるとコメントしていました。

彼の弾く楽器はストラディバリ、それもクライスラーが使っていたもので、弾きこなすのに数年を要したとのこと。

バッハのVnソナタが作曲された時代の楽器を使うことは、その曲を深く理解する助けになっているそうです。


息子のセルゲイ君もバイオリニスト、若いうちからバッハにチャレンジする彼を応援したいとのこと。
一時間ほどのインタビュー番組の後に、いよいよバッハのVnソナタ全6曲が演奏されました。イタリア人の伴奏者エンリーコ・パーチェとの息は抜群でしたし、この会場の響きがまた最高でした。オーディオソースとしても大変魅力のある音でした。場所はドイツのポリング修道院の図書館とか、、2008年5月の収録とありました。

★彼の演奏は音が綺麗で決してギスギスしていないだけではなく、合間で見せたシベリウスの協奏曲への想い、そしてアンコール曲での超絶技巧など、新たな一面を見せてもらいました。バッハを敬う気持ちと情熱も熱い、、、これは凄い演奏家になりそうな予感がします。