ティアラ江東で行われる新日響の、第68回定期演奏会に出演すると言う情報を、友人からメールで教えてもらいました。曲目はシベリウスのVnコンツェルト、これはもう行くしかありません。どういう訳か初めて乗った都営地下鉄でしたが、とても便利なところに素晴らしいホールがありました。チケットは当日券を当てにしていたのですが、前から10人目くらいに並んでいたら、それほど余裕が無いかもしれないみたいな話も聞こえてきました。それくらい多くの人が詰め掛けて来ました。
川畠さんは、ちょっと小柄な体から、大変力強い音を聞かせてくれました。指揮者に腕を支えられて登場した時には、大きな拍手で迎えられました。 8歳の時のアメリカ旅行中に、風邪薬で視覚障害をもつ事になったアクシデントをもろともせず、精力的な演奏活動を行っているとの話でした。
シベリウスは私もMIDIデータを入力したくらいの、ある程度はスコアも目を通した御馴染みの曲ですが、なかなか良い演奏には巡り合うことが難しい曲でもあります。がむしゃらに弾いてもいけないし、美しすぎるのも良くない、クセがありすぎる演奏も気になるなど、聞き手にとって注文の多い楽曲ではないでしょうか。
川畠さんの演奏は、どちらかと言えばハイテンポで進行しました。しかし、要所をしっかりと抑えて、技術的にはかなり高度なものを感じさせるものがありました。音量も充分なものでした。特に良かったのは、第二楽章だったと思います。オケとのアンサンブルも、ここでは問題にならず、美しく歌い上げていました。最終楽章は、私の好みから言うと、もう少しテンポを振ってほしかったように思います。あるいは、もっと「しつっこさ」みたいなものがあっても良かったと思います。あくまで私の好みの話ではありますが・・・。
新日響のみなさんは、アマチュアの団員で構成されていると言うことですが、とても良く揃ったメンバーの集まりだと思います。ブラスの響きは良かったですね。まだまだ実力を出せる、可能性の大きなオケと思いました。入場者を暖かく迎えたり、チケットの半券を切ったりで、なかなか大変そうでしたが、とても気持ちの良い演奏会でした。