友人に誘われて、横浜のみなとみらいホールに行ってきました。マリア・カラスの再来とも言われる彼女は、昨年のフェニーチェ歌劇場公演で椿姫のヴィオレッタを演じ、多くの日本のファンを獲得したと言われます。今回はオーチャードホール、この横浜公演、そして大阪など各地で催されるようです。私は先日の BSで放映された「椿姫」はライブラリとして持っているのですが、どうもゲオルギュ以外のヴィオレッタを見る気が起きなくて、そのままにしておりました。
桜木町に着くと、駅前の広場ではアカペラを演じる若者7~8名がなかなか良い声を出していたり、ホールへ向かう通路沿いでオープンコンサートがあったりで、とても活気のある雰囲気を感じました。大ホールには初めて入りましたが、かまぼこ型のこじんまりしたホールに見える割には、2000人を収容できるそうです。小ホールの柿落としに行ったときは、マズアの写真入ポスターによる大ホール完成記念コンサートの案内が掲げられていたのを思い出しました。
本日の曲目は、ベルディ以外も含まれる、なかなか楽しめる内容でした。まず代表的な序曲が演奏され、続いてその作曲家の作品が2~3曲歌われる形でした。まずはベルディ、プッチーニ、ドニゼッティ、ロッシーニと続き、ラストはあの「椿姫」の~花から花へで締めくくりました。友人とも話していたのですが、あの力強い声と裏腹になぜ弱い声が素晴らしくコントロールされているのだろうか、それはどの曲を聴いても強く感じました。圧巻はやはりラストの曲でした。何度となく聴いたこの曲ですが、彼女の歌は壮絶を極まるものでした。声を振り絞って歌い上げたあと、私は何がなんだか分からなくなるほど興奮しました。ものすごい拍手、ふと周りを見渡すと、彼女同伴の若い青年が涙を拭っていました。音楽好きの人たちで一杯だったのでしょうね。
アンコールが2曲、まずは椿姫の終幕から1曲と、さらにトスカから有名なアリアをサービスしてくれました。オペラ好きの方なら、好き嫌いは関係なくしてこの日の演奏会に感動できた一日だと思います。まだデビューしてから10年も経たないとは信じがたい歌手だと思います。どこまでその力を発揮していくか、本当に楽しみです。