二度目の新国立で、バレエを楽しみました。ミンクス作曲のこのバレエは、私はその存在さえも初めて知ったのですが、ロシアでのチャイコフスキー以前の時代では、大変人気のある曲と作曲家だったようです。主役の二人だけはロシアからの客演で、ニキアを演じたスヴェトラーナ・ザハロフは人気も上昇中の引っ張りだこのプリマドンナです。ソロルを演じたイーゴリ・ゼレンスキーも、同じマリインスキー劇場所属とあって、振りの大きなダイナミックな踊りを見せてくれました。
慣れないバレエを観たせいか、最初はそれぞれの場面で「うーん、どうして声を出して歌わないのか」と思ったり錯覚をおこしたりしましたが、時間と共にだんだんとバレーの素晴らしさが分かるようになってきました。
新国立の舞台はやはり凄いなと思いました。最終のシーンで、亡霊となったニキアが現れると、雷雲と共に城郭が崩れ落ちるところはとても迫力があったのですが、アッと言う間にそれらが片付けられ、静かに天に昇るニキアをソロルが追いきれないラストシーンに変わりました。この劇場では幕間も不用で上演可能なほどの装備があると思いました。また今回はS席で鑑賞したこともあり、ホールの音響が素晴らしい事も良く分かりました。
次の週末だったか衛星放送で、New York Cityバレーで活躍したスザンヌ・ファレルのドキュメンタリーなどがあったのですが、「ラ・バヤデール」に纏わる話が大変興味深く思いました。34名のバレーリーナが斜面を少しずつ降りながら繰り返し同じポーズを取らなくてはならない振り付けがありますが、あれほど体に厳しいものはないと説明があったのには驚きました。バレエもオペラと同じように、今後も楽しめそうな舞台芸術であると感じました。