漆原朝子さんの演奏は、だいぶ前に南足柄市民文化会館小ホールで聴いた事がありました。
今回は町田のアート・スペース・オーで、お姉さんの啓子さんとのデュオを楽しんできました。このホールは最大で100人足らずの収容しかできない代わりに、演奏者との視覚的な対話もできる、大変贅沢なホールです。
曲目はハイドン、武満徹、ヴィニャフスキー、レーガー、ルクレール、バルトーク、シュポーアの小品が目白押しで、それぞれの曲をバイオリン2本で奏でる、私にとっては初めてのデュオ形式でした。演奏者からの距離は約4mほど、ホールの音響も良く、また使用している楽器がストラディバリ・ガルネリとあって、お二人のアーティストの演奏をこれだけ楽しめる、またとないチャンスでもありました。
テレビでもこのお二人が一緒に演奏するシーンを見たことがありました。確か、奈良あたりのお寺での演奏だったように思います。超一流のアーティストを招いて、このような演奏会を企画していただいたオーナーの大橋さんは、本当にすごい方だと思います。寒い夕方だったのに、お客さんに声をかけながら暖かく迎えておられました。
最初の2曲はお姉さんの力量が大変に素晴らしいと感じました。3曲目のヴィニャフスキーあたりから、朝子さんがしっかりと音を出してきました。お二人の性格と使用楽器との類似性に関して、あとでオーナーが感想をおっしゃっていましたが、まさにそれを感じました。お姉さんの方は、とても安定した説得力のある演奏でした。これは天性のものだと思います。また朝子さんの演奏は、お姉さんを立てながらも滑らかで起伏に富み、感情のこもった演奏のように思います。
私と友人の二人で訪れた、今回は二度目のサロンコンサートでしたが、時々オーナーから演奏予定を郵送していただいています。演奏者、オーナー、リスナーが一体となって作り上げる素晴らしい空間を、今後とも大切にして行きたいものです。次回は6/7の新鋭バイオリニスト、五明佳廉さんの演奏を聴きに行こうと思っていますが、その伴奏がナントあの加藤洋之さんである事に気がつきました。これは素晴らしい出会いがまた始まりそうな気がします。