久しぶりの丹沢音楽祭に行きました。家内が合唱団として、一年前から練習に励んできました。前回の第九でお世話になった「堀やん」の指導の下、苦しくも楽しい準備期間を終えて、とうとう本番の日がやってきました。ソリストは澤畑恵美さん、五郎部俊朗さん、多田羅迪夫さん、オーケストラは神奈フィルの豪華メンバーでした。
澤畑さんは、NHK FMのパーソナリティーやお正月のオペラコンサートなどで、すっかりお馴染みになった素晴らしいソプラノで、何年か前に東京芸術劇場で行われた都響の第九で初めてその歌声を聞いて、すっかりファンになりました。今回の演奏会では以前に比べて体格も大きくなったように感じ、一段とその実力に磨きがかかってきたように思いました。テノールの五郎部さんは独特の声の持ち主で、澄み切った良く通る美しい歌声でした。元々は音大を出たわけでもなく、見出されてからミラノで研鑚を積まれたとの話には驚きました。バリトンの多田羅さんは、非常に安定した実力の持ち主でした。
演奏は「丹沢賛歌」で始まり、その後に二時間半あまりの長大なオラトリオが続きます。子供を一人連れて行ったのですが、しっかりと最後まで楽しむ事ができました。神奈フィルがこんなに上手なオケである事を再認識できました。合唱は前回の第九と同様にとても力強く、堀さんの指導力でこのようなプロに負けない演奏に仕上がるのは、本当に凄い事だと思いました。
堀さんの指導は、曲の場面毎の背景をしっかりとメンバーに認識させて、表面だけではない本当の意味を表現させる力が素晴らしいと思います。指揮ぶりも常に合唱団への合図とか、気持ちの細やかなコントロールを念頭に置いているようでした。これもプロのオケが一緒に演奏してくれるので実現できたのだと思います。
「夏」と「秋」の間の休憩をはさみ、長時間の演奏でしたが、大変有意義な時間を過ごす事ができました。ハイドンの作品は、交響曲や弦楽四重奏に目が行ってしまいますが、改めてこの曲の分野にも興味が湧いてきました。合唱の練習で伴奏をしてくれた藤井美紀さんが本番で奏でるチェンバロの演奏も良かったです。モーツァルトの「フィガロ」の雰囲気を思い出しました。合唱団のみなさんは演奏会が終って呆然とした気持ちもあるのではないかと思いますが、この一年間の練習、本当にお疲れ様でした。