ブルックナーに凝り始めたのは、つい1~2ヶ月前でしたが、いよいよ生の音楽に接する機会に恵まれました。京都市交響楽団は全国唯一の市立オーケストラ、そしてブルックナーを取り上げてきたのも設立当時(1956)からだそうです。第2代目常任指揮者のハンス・ヨアヒム・カウフマン、そして前任者のウーヴェ・ムント氏らが育んできた伝統を誇っています。
本日の指揮者は大友直人さんですが、京響とブルックナーに取り組むのはこれが初めてのようでした。会場の「すみだトリフォニーホール」は素晴らしいホールで、私はここを訪れるのは初めてだったのですが、音響的にも良く考えられた設計になっていると思いました。具体的には、舞台の天井が高く、ホール一体となっていること、そして平行面の排除が到るところに適用されています。
私が最も入れ込んでいる第7番、素晴らしい演奏でした。第1楽章の出だしで思わずグッときました。第2楽章は言わずもがな、第3楽章も生ならではの迫力、第4楽章までくると完全にブルックナーの境地に達するような感覚になってきました。特に素晴らしかったパートは、チェロ軍団とフルート、そして第1バイオリンも統率が取れていて、この曲に対するオケの伝統のようなものを感じさせました。管楽器はとてもダイナミックで、打楽器なしでも充分にクライマックスを表現できていました。さらに大友氏の手腕によって、今後のまとまりを期待したい部分はありました。
この曲をここまで演奏しきるのは、並大抵ではないと思います。曲の素晴らしさ、ブルックナーの素晴らしさ、そしてオーケストラ、指揮者、ホール、何よりもそれが「生演奏」であること、これらの全てが関係する名演奏だと思いました。これからしばらくは、ブルックナーの生演奏を求めて、徘徊する生活が始まりそうです。