ウィーンフィルでお馴染みのキュッヒェルさんと、毎年コンサートを開いている加藤さん、そのご本人から教えていただいたコンサートに出かけてみました。王子ホールは初めてでしたが、素晴らしい内装と音響を持つホールでした。音としては残響が長い割には高音が良く響くと言う印象を受けました。
場所がらもあり、品の良い聴衆が集まってきて、貸しホール形式のコンサートにもかかわらず、満席状態でした。ストラディバリ「シャコンヌ」を使って、バッハのシャコンヌを奏でると言うふれこみのコンサートでしたが、当日のプログラムは、以下の通りです。
・プーランクのソナタ
・モーツァルトのソナタ第40番(KV 454)
・バッハの無伴奏パルティータ第2番(BWV 1004)
・ベートーベンのソナタ第10番(OP 96)
いきなりのプーランクで度肝を抜かれました。凄いテンポとテクニック、圧巻でした。このような激しい曲をトップに据えるのは、キュッヒェルさんの演奏そのものを表していると、後で感じました。次のモーツァルトは、とても美しい演奏でしたが、私は加藤さんの素晴らしい音楽性に触れたような気がします。加藤さんのお話の中で良く聞く事なのですが、曲によってはピアノを自由に歌わせるスタイルを、キュッヒェルさん自身が望んでいるそうです。
バッハはかつて聞いた事がないくらいのハイテンポでした。うーん、シャハムも速かったけど、ちょっと違うかな??。ベートーベンはスケール感がありました。「ピアノと二人のオーケストラ」とでも表すのが良さそうです。アンコールの数曲を含めて、全体で100分近くの盛りだくさんなプログラムだったと思います。
演奏が終った後に、ロビーで購入したCDにサインをしていただきました。近くでみると、本当に親しみのある人柄と思いました。しかし演奏面では、私がそれまでキュッヒェルさんに抱いていた印象が、この日を境にして大きく変化させられた、凄いコンサートだったように思います。