サントリーホールに出かけました。友人が取ってくれた座席は舞台に向かって左側、ここならゲルギエフの指揮振りをバッチリ見られるかも・・・、そんな期待も込めて楽しみにした演奏会でした。
曲目はチャイコフスキーのVn協奏曲と、ショスタコーヴィチの交響曲第11番です。もちろん後者がお目当てだったのですが、第1曲目のソリスト、ニコライ・ズナイダーが想像以上の演奏家だった事が驚きでした。私の席から見えるのは背中姿のためか、楽器の音色が随分と柔らかく聞こえました。しかし楽章が進むにつれ、美しい中にも力と味わいのある素晴らしい演奏と感じました。アンコールのイザイ??は圧巻でした。満場の拍手を受けていました。
ゲルギエフは終始にこやかな指揮ぶりで、私の正面に向いた表情を大いに楽しみました。近くで見ると、随分と垢抜けた顔に見えました。やはり外人なんだな、と言う感じです。休憩をはさんだ2曲目のショスタコ、これは本当にたまげました。CDで聴くのとは大違い、凄い曲であると感じたのは「生」ならではと思いましたし、ましてやゲルちゃんの演奏、観客を最大限に楽しませることの本領を発揮していたと思います。
PMFオーケストラは、バーンスタインが育てたのがきっかけとなったもので、本拠地は札幌だそうですが、前日の大阪公演に続くハードスケジュールだったようです。若い優秀な演奏家の集団ですが、思った以上に外国人が多かったようでした。パシフィックの"P"は「平和」を表現したものとか、バーンスタインらしい命名です。演奏のレベルはとても高く、バーンスタインも良く口にしていた「お客さんを楽しませる演奏であるべきだ」を、ゲルギエフがそのまま引き継いだ面があると思いました。
ティンパニーや小太鼓が大活躍するこの曲ですが、若いアーティストが最大限に実力を発揮できていたと思います。また、それを実現させたゲルギエフの手腕にも、改めて脱帽の思いでした。今年は11月にウィーンフィルを引き連れて、チャイコフスキーなどを楽しませてくれるようです。日本にいながら、こんなにたくさんの演奏を聴かせてもらえるのは、本当に贅沢なことかも・・・と感じた一日でした。