本日の公演は、私にとっては忘れられないサヴァリッシュの演奏会になると思います。椅子に座って指揮すると聞いていましたし、先週あたりのFMでも、その様子が伝えられていました。しかし、急病から奇跡的に復帰したと言っても、歩くのがやっとのマエストロを見るのは、忍びない気持ちでいっぱいになりました。
ベートーベンの7番、圧巻でした。第一楽章、最初の音が出てきた途端、すでに私は感動が込みあげてきて、どうしようもありませんでした。曲が終わった後の熱狂的な聴衆の声も凄かったですね。舞台が暗くなってからも、拍手が続きます。ついに支配人が登場して、「済みません、マエストロは大変お疲れで、ご挨拶できません」の話がされた直後に現れたサヴァリッシュ、これはさらに感動を呼び起こした出来事でした。
N響との長い付き合いは、私としてもサヴァリッシュの音楽を聴いたようなものでして、確かにローゼンストック、スイートナー、ホルスト・シュタインなど数々の名誉指揮者の演奏も聴いてきましたが、やはり本命ここにありの気持ちを強く持ちました。
翌日のAチクルス2日目は、FMで生中継がありました。しっかりとエアーチェックしたのですが、ツィンマーマンの「ブリテンVn協奏曲」も、当日の感動を呼び起こす素晴らしい演奏でした。このバイオリニストはシャハムにも匹敵する、と言うより少し違うジャンルで楽しませてくれる演奏家のような気がします。特にベートーベンVn協奏曲は抜群の演奏だった記憶があります。クライスラーが使っていたと言うストラディバリの音は大変美しくて、彼の演奏法にもマッチしているような気がしました。
第1曲目のハイドンも、良い演奏でした。続けて何曲も聴きたくなるようでした。サヴァリッシュとの40年間の共演は、N響にとって、かけがえの無い存在でしょうね。昨年のウィーンフィル来日公演で代役を立てざるを得なかった時以来、もうサヴァリッシュの演奏を聴けなくなるかもしれないと思ったりしましたが、さらに健康を取り戻して活躍していただきたいと思います。