ドキュメンタリ番組で最近とても感動したのが、原爆直後の長崎を撮影し、少年を探し続けたオダネルさんの物語です。
確かに原爆資料館にはこの写真がありました。背中の弟はすでに息絶えて、歯を食いしばりながら火葬の順番を待っている光景です。
終戦直後に従軍カメラマンとしてハワイから長崎方面に向ったオダネルさん、
そのあまりにも無残な街と人の姿に絶句し、怒りがこみあげたそうです。
上官の目を盗んで撮り貯めた何千枚かの写真は、帰国してからも50年近くそのまま保管されていましたが、思いをふりしぼって長崎と福岡に出かけました。
釣りをしていた少年や、崩れた小学校で授業を受けていた当時の少年たちと、感激の再会を果たしました。
しかし、あの弟を背負った少年をどうしても見つけ出したい、と願うオダネルさんは、ペースメーカーの入った心臓、
背中は4本の金属で体を支えているにも拘わらず、あちこちを歩き回ります。
浦上天主堂で、ちょうど結婚式を挙げていたカップルに会いました。
祭壇に向かってお祈りをし、パイプオルガンの響きを聞きながら、その眼には涙が溢れていました。
結局は少年の行方がつかめずに帰国し、写真展を開きました。写真とその説明を見た若いお母さんの眼からは、大粒の涙がこぼれていました。オダネルさんは、昨年2007/8月に脳卒中で亡くなられたそうです。このような感動的なドキュメンタリを、何年もかけて制作した方々に、心から感謝したい気持ちでいっぱいです。