ゲルギエフのコンサートやCD、映像に触れるたびに、新たな驚きと感動に浸ってしまうことを数多く経験してきました。
最初はCDによる「シェーラザード」や「春の祭典」でしょうか、オーディオマニアとしての興味から言っても、あのド迫力の名演には度肝を抜かれました。しかし、ゲルギエフが音楽に対してどのような考え・信念をもっているかは、下記のドキュメンタリを見て初めて知りました。
プロコフィエフやストラヴィンスキーの映像も織り込みながら、彼とロッテルダムオケとの練習風景が映し出されます。ピアノで音だししながら作品の背景を団員に説明する姿を見て、これは只者ではないと思いました。またピアノの腕前が凄いのです。
我が家で所蔵する彼の映像は、数え切れないくらいあり、またNHKなどでもそれだけ力を入れるくらいの存在と思います。そのひとつが建都300年を迎えたサンクト・ペテルブルグ特集の番組でした。
この街が味わった苦しい時代の映像や作曲家五人組の話題、そしてアナニアシヴィリやネトレプコらとともに登場するゲルギエフが、この地におけるオペラやバレエを立て直し、いまやロシア随一の芸術都市に育て上げたエピソードが満載でした。
もうひとつの番組は、300年記念のコンサートでした。現代ロシアのアーティスト総出演のガラ・コンサートは実に楽しめました。
ゲルギエフはまだ50歳になったばかりでしょうか、現在のロシアだけではなく世界を背負って立つ、最高の音楽家の一人であると思います。
ロパトゥキナの「瀕死の白鳥」は絶品です。ザハロワとゼレンスキーの「海賊」然り、オペラとバレエの両面で、ゲルギエフの存在感に圧倒されました。