
昨晩BS-hiで放映されたドキュメンタリ、これは大変な力作でした。

生まれは1932年カナダ、小さいときから多感な少年で、学校に通いだしたのが遅かったそうですが先生との衝突などもあったそうです。

10歳でピアノの技術を一通りマスターし14歳にはデビュー、しかしその評判は賛否様々だったようです。
今回の放映は2005年制作とありましたが、これまで見たいくつかの映像を遥かに凌ぐ内容の濃さがありました。

コンサート出演をバタッとやめ、スタジオ録音に徹するまでの心の動きなどが、本人の話を中心にして、詳細にまとめられていました。特にメニューヒンとコンサートについて議論を戦わせている場面が面白かったです。

この二人が共演したCDも販売されているのですが、意見は異なっても一緒に演奏するだけの相手として、感じるところがあったのでしょう。
さて、この作品で登場する熱狂的なファンが紹介されていました。イタリア人、ロシア人など様々ですが、彼の演奏が人の心に深く入り込み、精神的な同化に達するものであるようです。面白かったのはこの作品の制作者が述べていた言葉ですが、グールドの音楽はベートーベンを飲み込んでしまう、ショパンの音楽はグールドに飲み込まれてしまう、しかしバッハを弾くと、神と同化してしまう・・・。

今でも彼のお墓を訪れるファンが多いと聞きます。録音に徹した彼の演奏と考え方が、今でも新鮮な音楽として生きているのでしょうね。