
今回は久々にAudioの話題です。歳を取ると耳の感度も落ちてきて、映像のある題材にシフトして行きがちになりますが、音楽はやはり良い音で楽しみたいものです。いろいろと試行錯誤を繰り返して来ましたが、私なりの改善ポイントをまとめてみました。
①良いスピーカーとの巡り会い
学生時代からたくさんの
スピーカーBOXを製作してきました。ハイエンドの機器を買えば当然それなりの結果を得られるのでしょうが、自分で考えて汗を流した作品は一味違う楽しみを与えてくれると思います。写真の
スーパースワンは長岡鉄男さんの素晴らしいアイデアの作、これで音楽を聴くようになってからは、ますます市販品を買おうとはしなくなりました。信じられないような低音、高能率、点音源による定位の良さなど、技術的にも文句の付け所の無い作品と思っています。

②ストレートな信号の伝達
以前からアンプも自作でチャレンジしていましたが、
真空管から
半導体へ、それも
MOS-FETの音に惹かれてからは、音に「癖」のない方向をひたすら求めました。究極の
金田アンプを経験した後に製作した
デジタルアンプは、その極地のような気がします。もちろんスピーカーケーブルは最短に、トーンコントロールなし、ネットワークコイルなしの鉄則を今でも貫いています。
③部屋と装置のバランス
どんなに高価な装置でも、自宅に持ち運んだ途端に予想した音が出ないことがあるそうです。私の場合は「部屋ありき」でそれに見合ったアンプとスピーカーを考えるので、あまり失敗談はないのですが、リスニングルームはとても大切な要素と思っています。しかし、そのための部屋を準備するような余裕はないので、なるべく
反響を少なくして
平行面を押さえ、スピーカーの位置も念を入れて調整します。特にマルチスピーカーでは位相合わせが重要で、間違っても同じバッフル板に並べることはしません。ツイーターをちょっと前後にずらすだけで、音の定位が大きく変化します。
④音場の調整
人間が心地よく感じる音の要素として「残響」があります。また単音楽器ではビブラートも重要な要素になると思います。前者についてですが、市販のCDなどにはホールあるいは人工的な残響が付加されています。これは家庭で音楽を楽しむのにちょうど良いくらいの量が設定されているようです。従って無響室やコンサートホールなどで楽しむには無理があります。かと言って、オーディオルームが勝手に残響を付加するのであれば、一律の音になってしまいますし、音自体が「曇って」しまいます。(お風呂で歌うと良い声で聞こえるようなものですね!)
私は最近これを
リアスピーカーで補うことを始めました。部屋全体を音楽で包み込むように、音の配分を調整します。しかし、リアから直接音が聞こえるのは不自然です。リアアンプにはひとつの仕掛けがしてありまして、左右同相成分を打ち消した信号を流すようにしました。これは学術的に正しい方法なのかどうかは分かりませんが、NHK技報などに見られるような20チャンネルを越えた装置による音場再現などは実用的ではありませんし、CDに含まれる左右2チャンネルの信号のみを利用した音場の形成を行うための、ひとつの方法ではないかと思います。

しかし、オーディオは本当に奥が深いと思います。最近は年配者に限らず、その楽しみが復活してきているように見えますので、私もさらに「飽くなき」改善にチャレンジしたいと思っています。