オーディオをやっているんだ(ラジカセとは違う!!)と言う意識の中には、低音再生の追及があると思います。
私が求める低音は、「フワッとして且つスピード感がある」と言うものですが、このフワッとは何か、なかなか説明しにくい話かなと思います。例えば部屋の窓やドアを揺さぶるような低音がありますが、これは別物ではないかと思います。おそらく基本波よりも高調波成分を多く含んだ低音のような気がします。
クラシック音楽では特に、このフワッ感が重要と思っていまして、レベルは低くても超低域まで延びていることが必要です。多少は位相がずれていても問題ありません。音になるかならないかくらいのパイプオルガンの超低域が再現できる装置を目標としています。
「音の遍歴」で有名な高城さんのコンクリート・ホーンを自宅に建設した方が多かった時代もありました。長岡鉄男さんが作ったリスニングルーム「方舟」そっくりの部屋を建てて、音楽を楽しんでいる方も結構います。
本来の低音再生を諦めたスピーカーシステムがあることも事実です。密閉箱やB&Wの逆ホーンなどがその例です。ラッパ型のアバンギャルドも同じでしょう。これらはアンプのトーン・コントロールで低音をブーストすることが前提になると思います。マルチアンプの低音ボリュームを上げることも同義です。
クラシック音楽以外では求める低音が違うようでして、高調波成分が重要になります。ドタッ、バシッのような音が出る必要があります。ツィーターを交換したら低音が素晴らしくなった、みたいな話題が多い世界です。
私のネッシー君は、共鳴管の長さが3mですので、λ/4では25Hzが最低共振周波数です。スワンと同様にして、ユニットのf0以下の音を出せるシステムと言われます(理論的にはまだ把握できないのですが・・)。市販のCDに含まれる音をスペクトルで見ると、コントラバスで70Hzくらい、大太鼓で 40Hzくらいの基本波が観測されるくらいなので、これくらいで満足できるかなと思っています。(ちなみにピアノの最低音は同等程度に低いのですが、かなり高調波が混ざったノンピュアな低音です。)
さて、本題について、以下にまとめておきました。ご参考まで。
スピーカーの口径と密閉箱容量との関係(低音再生)を、参考書で見てみました。本の名称は、「ハイファイスピーカ」中島平太郎著、NHK出版(昭和43年発行)です。箱の容積が大きい場合はスピーカーのf0に支配され、そうでない場合は容積で決まる。では口径別に低音限界が容積で左右されるその最大値は、 12cm:3 -6リットル、16cm:10-20リットル、20cm:25-40リットル、25cm:60-100リットル、30cm:150-250リットル、 38cmは書いてありませんでした。私のネッシーは密閉箱ではありませんが、換算した容積は68.3リットルになりました。箱の容積が必要量より小さくなると、低音再生限界が上昇すると同時に、限界周波数付近でピークが発生する。これを抑えるためには吸音材などが有効であるが、それによって再生限界が下がる訳ではない。・・・ナルホド。限られた容積で低音を再生するには、ユニットのf0近辺におけるQ0を低くする、m0を大きくする、口径を小さくする、以上三つの方法がある。Q0を小さくするためには、ハイコンプライアンス型にあるようにエッジの堅さを減じること、m0を大きくすると能率が下がるので高出力のアンプが必要になる、口径を小さく(例えば1/2)にすると4倍の振幅が必要になる。箱が小さくなると、もうひとつ問題がある。つまり内部空気の整流作用により、コーンの位置が前の方にずれてしまう、そのために歪が発生する。⇒これはバスレフにして改善するしかなさそうですね。バスレフの場合は、密閉箱よりはサイズの小さなBOXで済むのが特徴で、しかもユニットそのもののf0以下の周波数まで再現できる(f0 x 0.8まで)。ただし、共鳴を利用するので、低音の歪は減るが過渡特性が悪くなる。 ネッシーに使った16cmのユニットのf0は 51Hzであり、20リットル以上のBOXに入れればこの周波数まで再現できる。ただし、音圧は低いので、アンプのパワーが必要になる。
※スピーカーに関しては定量的な議論がしにくいのですが、中島さんの著書は、ひとつのバイブル的な存在であると思っています。ちなみにこの方は、NHK技研を離れた後、S社に移って今のCD規格を策定された張本人と言う話です。